Plastic Tree ゲシュタルト崩壊




「好きなアーティストは誰か?」という質問は難しい。
「~~のファンです」と強く言えるものを持っている人はいいが、
僕のように広く浅く、何でも節操なしに聞いている人間にとっては、
無難に有名どころを挙げるか、女子受けを狙うか、音楽通を気取るか、
単に恋人にしたいアーティストへの想いを語るか、色々と悩むところである。
しかし、どうしても一つだけ挙げなければならないのなら、
楽曲の質、ビジュアル、ファンでいる年数、売れてなさ加減、
実生活だと空気を読んで言わないが、ネット上だと言えるのを考慮して、
Plastic Treeが挙げられる。ほら無反応。だから実生活だと言わないのである。
Plastic Treeはヴィジュアル系全盛の時代にひっそりと登場したバンドである。
メジャーデビューが97年なので、同期はMALICE MIZERやSHAZNAである。
以前見たNHKの音楽番組に「ネオ・ヴィジュアル系」という括りで、
アリス九號、アンティック-珈琲店-、ナイトメアらに混じって出演していたが、
年代的には一組だけ完全にOBである。
大抵の人は「誰?」と思うであろう。
僕と同世代のヴィジュアル系に触れていた人さえ、
知らない、もしくは「まだ活動していたの?」と思うぐらいあろう。
代表曲もアニメ版「金田一少年の事件簿」のED曲ぐらいしかないので、
詳しい説明のしようがない。知らない人は一生知らずに過ごすであろう。
しかし、昔に比べてCDが売れなくなってきている昨今において、
ファンの数が減るでも増えるでもなく、地道な活動をしている彼らは、
複数商法の甲斐もあり、ここにきて過去最高位を記録しているのである。
先日8月30日は、彼らにとって二度目となる武道館ライブを開催した。
今回の24時間テレビで武道館が抑えられなかったのは彼らのせいである。
過去にレビューのタイトルで彼らの曲を捩ったりしていたが、当然のごとく反応はなかった。
いつか機会があれば語りたいと思っていたところ、今回ベストアルバムが発売されるというので、
ベストが乱発された後、レコード会社との契約が切れ、インディーズに落ちたうえに、
ドラムが脱退した時はダメかと思った。みたいなことを延々と書こうと思ったが、
今回のベストは、過去3枚のアルバム中心のベストという中途半端な内容だったので、
そのような思い出話は、解散時に出るであろうベストまで残しておくことにする。
とはいえ、せっかくなので、アルバムの内容に関して少々触れたいと思うが、
「いいバンドだからみんな聞いてね!」という趣旨ではないことを明言しておきたい。
若者向けでもなければ、女子向けでもなく、通好みでもない。
僕と同世代のヴィジュアル系の主流ではなかったので、思い出話としても通じず、
今時のヴィジュアル系が好きな女子も、あんまりこちら側には行かないであろう。
そもそも僕が好きなのも「高校時代に聞いてたから補正」によるものが大きい。
大学受験も早々に諦め、皆が学校に残って勉学に励んでいる中、
深々とした東北の雪道を一人歩きながら聞いていた「ツメタイヒカリ」みたいな、
そんな思い出がないと、僕と同様の思い入れを持つのは難しい。
読者の中にファン(元ファンでも可)が一人でもいてくれたら満足である。


『讃美歌』
彼らの歴代の曲の中で、僕が一番好きな曲である。
一般の人からすると、別段特徴のない普通の曲だと思うだろう。
もしかするとバンドのファンさえも「これが一番?」と思うかもしれない。
だが好きな曲なんて得てしてそんなものである。深い理由などはない。


『梟』
最新シングルにして、オリコン9位という史上最高位を記録した曲。
発売前にドラムが脱退してしまい、過去のトラウマが思い起こされたのだが、
そんな不安を払拭するように、最近の曲の中では一番好きである。
しかし何故か今回のベストに入っていないという不思議。