相対性理論 解析Ⅰ やくしまるえつこ


先日、巷で話題の相対性理論のライブに行ってきました。(一人で)


そんな訳で相対性理論である。
CDショップ店員が選ぶ「第1回CDショップ大賞」に、
Perfumeを抑えて選ばれるなど今勢いに乗っているバンドであるが、
メディアへの露出を極力控えているため、その素性は未だに知れない。
最初に出た「シフォン主義」まではまだ良かった。
「椎名林檎の亜流ですよ」とでも言われれば納得できる範疇であった。
しかし次に出た「ハイファイ新書」。これがいけなかった。
ウィスパーボイスの神(たぶん邪神)に魂を売り渡したのか、
ボーカルがやたらと艶っぽくなっていた。(「地獄先生」などが特に顕著)
常日頃「女性アーティストは声が可愛ければいい。上手さとかいらない」という、
スーザン・ボイルさんを敵に回す発言でお馴染みの僕の琴線に触れまくりであった。
そのような理由で、相対性理論のボーカルであるやくしまるえつこ嬢は、
僕が最近一番気になっている女性アーティストである。(次点は真野恵里菜)
ライブの抽選に応募したら当選したので、今回参加する運びとなった。
会場はリキッドルームであった。一人の身軽さから会場のそこそこ前の方に陣取る。
最初に男性三人組が登場した。おそらくゲストのsimというバンドと思われるが、
別段名乗ることなく演奏が始まったので、何者なのかわからない。インストだし。
この男性がやくしまるえつこ嬢という可能性も否定できない。
やくしまるえつこ嬢も雑誌で好きなアーティストに挙げていたsimであるが、
ノイズが強めで苦手な人には辛い感じの音楽であった。(実際に倒れた人がいた模様)
僕は好きでもないが嫌いでもない。でもこれを日常生活で流す場面がない。


「どうしたもんだろうこれ」という空気の中で演奏が続けられるが、
最後の曲となったところで、ゲストとしてやくしまるえつこ嬢が呼ばれた。
予期せぬタイミングでの彼女の登場に、興奮半分、驚き半分の場内。
嬉しいんだけど、盛り上がりのために真打は最後まで取っておいて欲しかったような。
そんな訳で登場したやくしまるえつこ嬢であるが、すげえ無表情。
会場に来る途中で財布でも落としたのかと思うほどの仏頂面である。
僕を含めて、実際の彼女の顔を初めて見たという人は多いであろう。
各々抱く感情は様々だろうが、やる気のなさそうな女子が好きな僕にとっては正解である。
「同じ部屋にいながらお互い無言で別々の作業をしたい!」という歪んだ情念を覚える。
simの演奏に合わせて歌うやくしまるえつこ嬢。曲は相対性理論の「テレ東」であった。
歌っている時の彼女は基本的に直立不動である。視線もほとんど動かさないので、
「まるえつが自分の方を見てる!」と勘違いしてしまう気持ち悪い男子もいるのではないか。
実際、歌っている最中は僕の方を見てた。完全に目が合ってた。まさかフラグが立つとは。
やくしまるえつこ嬢は歌い終わると即座に退場。結局、歌声以外は一言も発さなかった。


続いて登場したのは、同じくゲストの渋谷慶一郎氏であった。
場内が真っ暗になり、舞台のピアノのみにスポットライトが当たる。
先ほどまでのノイジーな音楽から一転、やわらかなピアノの音色が場内に鳴り響いた。
椅子に座って聞けたら、さぞ心地よい安眠に誘ってくれそうな音楽であるが、
スタンディングでのピアノソロはなかなかに厳しいものであった。眠いけど寝れない。
スタッフへのダメ出しが多い人物、という印象を残して渋谷氏退場。
ちなみにこの時点で開演から二時間が経過。僕の両足は既に限界である。
次はいよいよ相対性理論の出番である。観客も次第に前の方に詰めてきた。
彼らのライブに来るのは初めてだが、ライブでのお約束とかあるのだろうか?
「LOVEずっきゅん」に合わせてずっきゅんジャンプとか。もしあったらすぐに帰るけれども。


そのようなどうでもいいことを考えているうちに、相対性理論が登場。
オープニングは「四角革命」であった。やくしまるえつこ嬢は相変わらず無表情である。
彼女が歌い上げる時空を超えた恋人達の壮大な恋愛模様に涙する。しかくかくかく。
常に無表情のやくしまるえつこ嬢だが、そのMCもまた無表情であった。
プライベートの話は勿論、メンバー紹介や観客への挨拶も皆無。
当日彼女が行ったMCは以下の通りである。
「左を向いているのがオーパーツ」
「わたしはあなたの101回目の花嫁よ」
「生まれ変わったら、女の子になっちゃいました」
実際に文字に起こしてしまうと、ただの電波不思議ちゃんであるが、
それらが寒くならないほどの不思議ワールド、ならびに可愛さであった。
特に「LOVEずっきゅん」はずっきゅん度がCDよりもパワーアップしていた。人間兵器レベル。
リリースされている二作に収録されている大体の曲はやったが、「スマトラ警備隊」はやらなかった。
おそらく本物のスマトラ警備隊の方からクレームが来たのであろう。残念である。
ライブは滞りなく進行したのだが、最後の「バーモント・キッス」だけはグダグダであった。
打ち込み機材のトラブルが原因なのか、歌詞やら演奏やら色々とズレていた。
ギターの人とベースの人も、やっちまったなという感じで顔を見合わせていた。
思わぬトラブルに気になるのが、やくしまるえつこ嬢の様子である。
普通のアーティストであれば、こういう時には思わず苦笑してしまうであろう。
今まで全く表情を崩さなかった彼女が初めて見せる素の表情、
そんなツンデレ的ギャップに、ファンの男子はメロメロになるのである。
しかし、やくしまるえつこ嬢はここでも無表情。お前は鉄仮面か。
もしも彼女がイロモネアの客席にいたら、完全にラスボスである。
そんな訳であるからアンコールも当然なし。
「おやすみ」の一言を残してあっさり退場した。
色々と突っ込みどころ満載のライブであったが、
Perfumeですらフライデーされてしまう夢も希望もない現代において、
ここまでファンが期待するイメージを崩さずに貫くというのはすごいことである。
<セットリスト>
1. 四角革命
2. 地獄先生
3. さわやか会社員
4. おはようオーパーツ
5. LOVEずっきゅん
6. 百年戦争
7. ペペロンチーノ
8. テレ東
9. ルネサンス
10. ふしぎデカルト
11. シンデレラ 
12. 品川ナンバー
13. バーモント・キッス