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【音楽】相対性理論「回析Ⅰ」@東京ドームシティホール

先日、東京ドームシティホールで行われた相対性理論のライブ「回析Ⅰ」に行ってきた。
僕が最後に彼らのライブに行ったのは、もう3年も前の「立式Ⅲ」なので、
久々に彼らの様子を見てみようかと思い、参加することにしたのである。

とはいえ、この3年の間で相対性理論もかなり変動があった。
バンドの中心人物であった真部氏とドラムの西浦氏がバンドを離れ、
ギターの永井氏はフジファブリックの「sugar!」のPVに出てた女性と結婚、
ゲストとして呼ばれていた渋谷慶一郎氏は離婚した中山美穂と付き合いだし、
肝心のやくしまるえつこ嬢は、能年玲奈さんがテレフォンショッキングに出演した際、
タモリさんが薬師丸ひろ子からの花を紹介する感じでやくしまるえつこ嬢からの花を紹介してしまい、
会場とお茶の間に「何か違わない?」という微妙な空気を漂わせるなど、
各々に大きな動きがあり、記憶の中の彼らとは大きく変わってる可能性があった。

そんな経緯もあり、期待と不安を抱えながら会場に向かった。
チケットはポスターに付属しており、それを切り離して持っていくのだが、
切り離してみたものの「本当にこれで入れるのか?」とこれまた不安であった。
だが、会場前に着くと、みんなアホみたいに長いチケットを持って並んでいたので安心する。
中には切り離さずに取っておきたいのか、輸送用のダンボールごと持って来ている人もいた。

入場後、開演まで時間が合ったので物販の列に並んでみることにした。
FACETASMというブランドとコラボしたTシャツが今回の目玉商品である。
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だが、7000円というなかなかに強気な価格設定のため、
興味は示すものの、実際に購入するという人は僕の前後では皆無であった。
通常のTシャツとコラボTシャツは売り場担当者が別々のため、
売れないコラボTシャツ担当の3人の男女は普通に世間話をしていた。
僕も当然のようにスルー、代わりに「猫 vs 犬 タオル」なる素敵なタオルを購入した。
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今後は常に携帯し、犬と猫が喧嘩をしている現場に立ち会ったら、
このタオルを掲げて「ケンカはやめたまえ」と仲裁する予定である。

ライブはスタンディング形式だったので、そこそこ前の方に陣取った。
普通のバンドのライブだったら、怖いので後方に待機している僕であるが、
相対性理論のライブではどんなに前に行ってもモッシュやダイブは勿論、
拳を突き上げることさえ皆無、皆が海月のようにゆらゆらと揺れるのみである。
なので、バンドのライブというものに行ってみたいけど怖いという人や、
病院の待合室の雰囲気が好きな人には大変オススメのバンドである。

開演前のアナウンスが終わると、徐々に照明が落とされ、いよいよ相対性理論の登場である。
他のバンドメンバーに続いて最後に登場したやくしまるえつこ嬢、
一見すると巫女さんのような、白い上着に赤いスカートという衣装であった。
いつも無表情、というか若干悲しそうな表情をしている彼女だが、
今回も3DSを買った翌日にNew3DSが発表されたみたいな暗い表情だった。

そのまま一曲目の「たまたまニュータウン」が始まったのだが、
僕がまず驚いたのは、ドラムが二人のツインドラム編成であることであった。
相対性理論というバンドは、基本棒立ちのやくしまるえつこ嬢に加えて、
ギターもベースもそれほど激しいステージアクションはしないため、
必然的に手数の多いドラムが何か一人で頑張ってるみたいに見えてしまうのだが、
ドラムを二人にすることで観客の視線を分散させることに成功していた。
木を隠すなら森の中、ドラムを隠すならドラム追加という逆転の発想である。

曲の終盤、やくしまるえつこ嬢が突如蛍光灯のような光る棒を取り出した。
ゆったりとした動作で光る棒を上下に揺らし始めるやくしまるえつこ嬢、
「一体何が起こるのか?」僕は期待しながら彼女の動向を見守った。
だが、最後まで特に何も起こらないまま曲は終了した。
どうやら間奏中に手持ち無沙汰な彼女の遊び道具だったようである。

続いての曲は僕が聞いたことのない曲だったので、
「新曲? それとも僕が知らないだけ?」と不安になったのだが、
ライブ後に他の人の感想を見るに、どうやら新曲だったようである。
普通のバンドなら「新曲をやります」と言って「おーっ!」と盛り上がるのが常であるが、
彼らの場合は何も告げないまま始めるので、新曲かどうかの判断が難しい。
そんな困惑を周囲に悟られてはカッコ悪いので、初聴の曲でもリズムに乗りながら、
「当然知ってますよ(知らないけど)」という雰囲気を醸しださなければならない。

次の「キッズ・ノーリターン」が終わると、お馴染みの給水タイムに入った。
やくしまるえつこ嬢は味わいカルピスを飲むかのごとく、ゆっくりとコクコクと水を飲む。
彼女の周辺だけ時が止まったようであり、食道の細い女の子フェチには堪らない瞬間である。
僕が大富豪になった際には、彼女がひたすら水を飲むだけのイメージビデオを作成したい。

そしていよいよ、やくしまるえつこ嬢によるMC第一声の時である。
いつの間にかウィキペディアに生年月日が記載されていた彼女(27)、
初めて彼らのライブに行った時には、彼女もまだ22歳のいわば小娘であったので、
意味の分からないことを言っても許されたが、もう大人の女性と言ってもいい年齢である。
もし今回もMCに成長が見られないようだったら、さすがにファンを止めざるをえない。

「恋の死角に回り込む、相対性理論、回析Ⅰ」

「せ、成長してる!」
以前とは違う彼女のしっかりとしたMCに僕は思わず感動した。
彼女の過去のMCを知らない方には「最初の台詞いるか?」と思われそうだが、
今までは「お名前は?」と聞いても「ジバニャン!」としか答えなかった子供が、
「えつこ、ジバニャン好き!」と初めて自分が何者であるかを名乗ってくれたのである。

確かな成長に感動する中で「(恋は)百年戦争」が始まった。
やくしまるえつこ嬢は基本棒立ちの上、視線も動かさないので、
観客の中には「まるえつと目が合った!」と語る人が数百人単位で出現する。
そして今日も彼女は僕の方を見てた。僕しか見てなかったと言っても過言ではない。
今回で4度目なので、いよいよ婿入りを考えなければならないかもしれない。

続いての「BATACO」が終わり、次の曲の準備中のことである。
やくしまるえつこ嬢が急に髪の毛をやたらといじり始めだした。
ライブ中なのにまるで緊張感のない人だなあと半ば呆れるが、
直後に「地獄先生」の演奏が始まり僕は戦慄した。
そう、彼女は歌詞に出て来る教師に恋する女子高生になりきって髪の毛をいじっていたのである。
憑依型の俳優というのはよく聞くが、一曲ごとにその曲の主人公になりきるという、
彼女の表現者としての圧倒的なプロフェッショナル精神に感服せざるをえない。
と思ったが、その後も何度もいじっていたため単なる癖だと思われる。

次の「ジョンQ」が終わると、先ほどの光る棒を再び取り出したやくしまるえつこ嬢、
ここで彼女による二度目のMCが入った。

「これが私の青いイナズマ」

事情を知らない人には「なんのこっちゃ?」と思われそうなMCだが、
隣の東京ドームでSMAPが同時刻にコンサートをしており、それを意識しての発言と思われる。
こう書くと、彼女がSMAPを敵視しているのかのようにSMAPのファンに思われそうだが、
やくしまるえつこ嬢はSMAPにも楽曲を提供しているので、決して他意はないことをお伝えしたい。
山下智久さんの「愛、テキサス」も彼女が提供した曲である。ほら、あの変な曲ですよ。

そんな青いイナズマを工事現場の旗振り人形かのように降るやくしまるえつこ嬢、
今まで常にスロウ状態だった彼女だが、振り下ろす瞬間だけはやたら早かった。
そんな驚きとともに「Q/P」が始まったのだが、
やくしまるえつこ嬢、青いイナズマで遊ぶことに夢中で歌うことを忘れる。

続いての「人工衛星」はロックバンド然とした演奏がカッコ良かった。
特にギターの永井氏のパーマのかかり具合が素晴らしい。
僕が見たパーマの中でも理想的なパーマベスト3には入る。

その後も「YOU & IDOL」から「気になるあの娘」と魅力的な構成が続き、
このままライブの盛り上がりも最高潮になろうかという時に、
やくしまるえつこ嬢による三度目のMCが入った。

「ばあちゃん、バーチャルじゃだめ?」
突然のダジャレに観客がポカーンとしていると、
やくしまるえつこ嬢がステージのセンターから端の方に移動し始めた。
田舎の祖母が恋しくなって、帰りたくなってしまったのかと思われたが、
何やら近未来風のヘッドセットのようなものを装着し始めた。
事前に公式ホームページのライブ情報に記載されていたのだが、
これはバーチャルリアリティ・ヘッドセット「オキュラス」というものらしい。
やくしまるえつこ嬢用にオリジナルのシステムが組まれているということで、
これを使ったステージ演出を彼女が行うということであった。

「求心」の演奏が始まると、ステージ後ろのモニターに広大な宇宙空間の映像が映し出された。
やくしまるえつこ嬢が右手を動かすと、まるでテルミンのように音が鳴り出し、
右手を握ると音が止まると同時にモニターに「PAUSE」の文字が表示される。
そして左手を動かすと、モニターに可愛らしい猫のイラストが現れるのであった。
これ、猫の機能は要りますかね?

最後の方には自らの意志で猫を召喚できることに嬉しくなったのか、
ひたすら左手を動かし続けるやくしまるえつこ嬢、その度に猫が出現し、
モニターには宇宙空間いっぱいに無数の猫のイラストが広がっていた。
暇さえあれば「にゃんにゃん」言い出すやくしまるえつこ嬢であったが、
ついに人類初のバーチャルで「にゃんにゃん」を表現することに成功した。

次の曲の準備中、やくしまるえつこ嬢がステージ裏に引っ込んでしまった。
慣れないヘッドセットの着用に気分が悪くなってしまったのかと心配したが、
間もなくして再登場、その手にはリコーダーが握られていた。
坂本龍一や鈴木慶一など様々な大物アーティストと共演・共作をしてきた彼女、
その経験から、栗コーダーカルテットのリコーダー技術を会得していたのである。
どうしてそんなニッチな能力を選んだのか。

そんな訳でやくしまるえつこ嬢も演奏に参加しての「上海an」が始まった。
うっかり音を外してしまったら、無言で帰ってしまうことも考えられる。
観客全員が娘のピアノの発表会を見守る親のような心境で彼女の演奏を見守った。
そしてやくしまるえつこ嬢、見事ミスなく演奏終了。ウチの娘がやりましたよ!

続いての曲は「スマトラ警備隊」であった。
1枚目のアルバムの1曲目に収録されている曲である。1
ここ数年の経緯から初期の楽曲はやらないのかと思っていたが、
普通にやってくれたことに安心する。共産党やKGBからの抗議もない模様。

「そうだ、ソーダに相談だ」
再度のダジャレMCの後に披露されたのは、本日二曲目の新曲であった。
なんだか掴みどころのない曲だなあという印象を持って聴いていたが、
ライブの帰りにコンビニで無意識にメロンソーダを買ってしまったので
謎の洗脳効果があるのかもしれない。ソーダ業界の人はCMソングに検討すべし。

曲が終わると「またね」の一言を残して彼らはステージから去っていった。
会場内にはアンコールを求める拍手があまり揃ってない感じで鳴り響くが、
アンコールに応じないのも、それはそれで個性として認められてしまう彼ら、
はたして素直にアンコールに応じてくれるのか。

ないかもと思い始めるぐらい待った後、彼らがステージに再登場した。
アンコールとして演奏されたのは「ロンリープラネット」であった。
長く壮大な曲なのでアンコールはこの一曲で終わりだろうと思われたが、
最後の最後に多くの人が待望していたであろう「LOVEずっきゅん」を演奏してくれた。
これまでサービス精神とは程遠い彼らであったが、この3年間で変化したようである。

やくしまるえつこ嬢によるかわいらしいボーカルは勿論、
ギター、ベース、ドラムの各パートの演奏も魅力的なこの楽曲、
最後の最後に来て、今こそツインドラム構成の本領を発揮するときである。

と思ったら、ドラムの一人はドラムを叩かずにひたすらマラカスを振っていた。
やはりドラム二人は過剰人員だったのではないかと思い始める。
最終的には左手にスティック右手にマラカスを持ち、叩きながら振っていた。

「ばいばーい」と言い残して去っていくやくしまるえつこ嬢、
演奏時間は前回参加したライブの倍近い約2時間であった。
キャラクターは全く変化していないが、サービス精神は向上しているようである。
いつか彼女の口から「ありがとうございました」の言葉が聞ける日が来るのだろうか。
その日を夢見て今後もたまに参加してみたいところである。