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バースデー

先日、モチグマンオレンジに任命した小川ひなたさんから、
ふわふわ戦隊専用回線(Skype)にて連絡があった。
「お誕生日おめでとうございます隊長。お祝いにケーキでも食べに行きましょう」
「いや、僕の誕生日は9月13日だったのですが……もう10月ですよ」
「それはわかっていますが、何か甘いものでも食べたい気分なのです。
私がケーキが食べたいと思った日が、あなたの誕生日!」
誕生日ってそんなサラダ記念日みたいな祝い方をするものかと思ったが、
僕も最近ケーキ分が足りないような気がしてきたので、誘いに応じることにした。
スイーツ男子をアピールしておけば、「私とも一緒に行きましょう」という、
女性読者からのお誘いが続々と舞い込むことであろう。
普段は甘いものをほとんど食べない僕であるが、いざとなったら、
ザラメをまるかじりするぐらいの気概は持っている男である。
翌日、新宿にて彼女と待ち合わせた。
「どこのお店のケーキが食べたいですか?
せっかくの誕生日ですので、あなたが好きに決めてください」
「そうですね。やはり不二家か、それともコージーコーナーか。
いや、ここはオサレにスタバ(スターバックスの略)で決めようか。
しかし、最近はコンビニのスイーツも侮れないというし……」
直後、何故か選択権が僕から奪われ、彼女が店を決めることになった。
連れて行かれたのは、伊勢丹の地下にあるジャンポール・エヴァンであった。
ジャンとポールとエヴァンの三兄弟で仲良くやっている町のケーキ屋さんである。
「何でも好きなものを頼んでください」とひなたさん。メニューを見ると、
チョコレートケーキや、チョコレートケーキや、チョコレートケーキがあったので、
僕はチョコレートケーキを注文し、彼女はチョコレートケーキを注文した。
ケーキセットがなかったので、飲み物も一緒に注文しちゃおうかしらと思ったが、
ダージリンが950円という、関税を掛け間違えたとしか思えない価格であった。
「はて? 今月からタバコと一緒に紅茶も値上げしたんですか?」
「こういうところの飲み物は、そういうものなのですよ」
今日は彼女に奢ってもらえるので、お代を気にする必要はないのだが、
「午後の紅茶何リッター分だよ」と思うと、とても注文できなかった。
いつか、人のお金を無遠慮に使えるような人間になりたいものである。
注文から程なくしてケーキが運ばれてきた。
飲み物に比べると、ケーキは良心的な価格に思えたが、
その分非常に小さかった。一口あたり40円はするであろう。
僕はケーキを崩さぬように慎重に切り取り、一片をゆっくりと口に運んだ。
「お味はどうですか?」
「非常に濃厚……それでいて、口溶けがまろやかなのでしつこくない。
例えるならば、絶好調時の黒木メイサのような、濃さと甘さの理想的なバランス。
こんなに美味しいチョコレートケーキは、ビエネッタ以来ですよ!」
僕はケーキがいかに美味しかったのかを彼女に熱く伝えたが、
周囲の放課後ティータイムを楽しんでいらっしゃる御婦人方が、
微笑ましくこちらを見やったので、残りは無言で食べた。
そして帰り際、彼女が鞄から何やら包みを取り出して、僕に手渡した。
「あとこれ、遅くなりましたが、誕生日プレゼントです」
「おおっ、ありがとうございます。中身は何ですか?」
「本です。きっとあなたが欲しがっているだろうと思って」
「良かった。去年のプレゼントがラブプラスでしたから、
今年はAKB48のゲームを渡されるのかと思っていましたよ。
あれ、12月23日という、残酷な秋元のテーゼを体現する発売日ですし」
「そんなものが……失敗した!」    

何はともあれ、誕生日を祝ってもらえるというのは嬉しいものである。
それにしても、僕が欲しがっている本とは何だろうか。
大きさからいって、おそらくハードカバーの小説だと思われる。
先日、伊坂幸太郎の新刊が出たのでそれかもしれない。
本のプレゼントというのは、プレゼントの中でも特殊であり、
送られた本で相手が自分にどのような印象を抱いているのかが分かる。
僕はラッピングを丁寧に解いた。果たして中に入っている本とは……!

!?